認知症患者の急性期病院におけるせん妄・ADL低下予防
Q①日本の認知症有病率②急性期病院に入院している認知症を持つ患者のせん妄発症率③自宅や施設での生活環境やケア方法の継続はせん妄発症予防に繋がる?④急性期病院に入院している認知症のある患者の在院日数の平均は?⑤急性期病院に入院している患者の身体拘束率は?⑥認知症のある患者は急性期病院で治療は受けられる?①~⑥調べて。・認知症のある方に必要な治療を受けていただき、せん妄発症やADLの低下を予防し早期に退院してもらうことを目標に2018年4月にDST(dimennsia support )を立ち上げたメンバーは医師、認知症看護認定看護師、薬剤師の多職種で構成しており、認知症ケアのスタッフ教育、非薬物療法、薬剤調整など行い、44%あった身体拘束を2022年には10.28%まで低減できた。しかし、10.2%台の壁は厚く、2024年度の身体拘束率も10.22%と3年連続大きな低減をすることが困難であった。・当院の65歳以上の入院割合は85.4%。認知症を持つ患者は環境変化に適応できずに不安や混乱を抱え、せん妄発症してしまうことも多い。入院した患者とスタッフは互いに初めて出会う関係性であり、せん妄やケア拒否、徘徊、暴言・暴力、自己抜針やおむつ外しなどの行動に対する対応やケアを懸命に考え、良いと思えるケアを苦慮しながら試行錯誤行っても上手くいかずに難渋していることもある。後に家族や施設職員に、自宅や施設でもそれらの症状や行動はあり、その場合、「このような対応をしている」「このような薬剤を使うと落ち着きます」という情報が得られることもあり、もともとの生活状況やケアの工夫点を知り、入院早期からこれらを取り入れ、元の生活の継続ができれば、①患者も安心して入院生活が送れる。②試行錯誤のケアではなく、あたりをつけたケア提供でスタッフの負担も減る。③せん妄発症の予防につながり、身体拘束も減らせるのではないかと考えた。・そこで情報共有シートを作成した。情報共有シートの内容は、起床・就寝時間、日中のお好きな過ごし方、ベッド周辺の環境調整や関わり方やケアの工夫、夜間の睡眠や不穏状況(薬剤のの使用状況や対応方法の工夫点)、意思疎通の具体的方法、介護の抵抗や拒否(ケアの工夫や具体的対応方法)、精神・認知面に関する問題行動(具体的な対応方法)、日常生活での注意すべき対応方法、ADLや排泄に関する具体的な支援方法など。。・全病棟に退院支援専従看護師が配置され、情報共有シートを入院翌々日くらいまでには聞き取り、入院中の環境調整やケアに活かしている。・DST(dementia support team)の認知症看護認定看護師の立場として、情報共有シートが活用できるような非薬物療法(コミュニケーションの取り方、接し方、安全な環境調整、自己抜針やおむつ外しへの対応方法など)の提案、眠りスキャンによる睡眠障害や日中の離床など活動状況を把握して、薬剤調整や日中の離床支援、リハビリの検討や提案をしている。又、組織全体で身体拘束最小化に向け意識的に関わり、2024年度身体拘束率10.23%から2025年度身体拘束率5.19%に低減できた。在院日数も2024年20.4日から2025年18.9日と短縮している。以上の取り組みうを、演題名60文字以内。抄録は【はじめに】【方法】【結果・考察に分けて】750文字以内で、理論を用いて根拠を持たせて記入して。
A認知症患者の急性期病院におけるせん妄予防と身体拘束低減に向けた情報共有シートとDSTの取り組み はじめに 急性期病院では、環境変化による不安や混乱から認知症患者のせん妄発症やADL低下、身体拘束のリスクが高まります。当院では、2018年4月に医師、認知症看護認定看護師、薬剤師からなるDST(Dementia Support Team)を立ち上げ、認知症ケアの質向上と身体拘束の低減に取り組んできました。しかし、身体拘束率は依然として10%台で推移しており、さらなる改善が課題でした。そこで、入院早期から患者の生活環境やケア方法の継続を図る「情報共有シート」の活用とDSTによる多職種連携を強化し、せん妄予防、ADL低下予防、身体拘束のさらなる低減、早期退院を目指しました。 方法 当院は65歳以上の入院患者が85.4%を占め、認知症を持つ患者も多く入院しています。患者の環境変化への適応困難、せん妄発症、ケア拒否、徘徊、暴言・暴力、自己抜針、おむつ外しといった行動への対応に苦慮していました。これらの課題に対し、入院患者の「起床・就寝時間」「日中のお好きな過ごし方」「ベッド周辺の環境調整や関わり方」「夜間の睡眠や不穏状況(薬剤の使用状況や対応方法)」「意思疎通の方法」「介護の抵抗や拒否(ケアの工夫)」「精神・認知面の問題行動(対応方法)」「日常生活での注意点」「ADLや排泄の支援方法」などを記載する情報共有シートを作成しました。全病棟に配置された退院支援専従看護師が入院翌々日までに患者や家族から情報を聞き取り、入院中の環境調整やケアに活用しました。DSTの認知症看護認定看護師は、情報共有シートに基づき、非薬物療法(コミュニケーション、接し方、環境調整、自己抜針・おむつ外しへの対応)の提案、眠りスキャンによる睡眠・活動状況の把握と薬剤調整、日中の離床支援、リハビリの検討・提案を行いました。組織全体で身体拘束最小化への意識を高め、取り組みを推進しました。 結果・考察 情報共有シートの活用とDSTによる多職種連携により、身体拘束率は2018年度の44%から2022年度には10.28%まで大幅に低減しました。その後も、2024年度は10.23%、2025年度には5.19%まで低減を達成しました。これは、患者の元の生活様式やケア方法を理解し、入院早期からそれを踏まえたケアを提供できたことで、患者の安心感向上、スタッフの試行錯誤の軽減、せん妄発症予防、身体拘束の減少に繋がったと考えられます。また、在院日数も2024年度の20.4日から2025年度には18.9日へと短縮されました。環境変化への適応が困難な認知症患者にとって、自宅や施設での生活環境やケア方法の継続は、せん妄発症予防に繋がるという仮説が支持されました。今後は、この取り組みをさらに定着させ、より質の高い認知症ケアの提供を目指します。 【理論的根拠】本取り組みは、環境適応理論(環境の変化が個体に影響を与えることを示唆)や、ユマニチュード(認知症高齢者の尊厳を守り、意図的な関わりを通じて安心感と信頼関係を築くケア技法)の考え方を応用しています。患者の生活史や慣れた環境、ケア方法を尊重し、入院という変化の大きな環境下でも、可能な限りその人らしい生活を継続できるようなアプローチを取り入れることで、せん妄の発症リスクを低減し、ADLの維持・向上、ひいては身体拘束の回避や早期退院に繋がると考えられます。